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こんにちは! 雨宮小夜です。

今回twitter連動企画として、よっしーさんに戴いたお題【婦警と少女】シリーズ『小さな恋のメロディ』を、ひとまず完結させました。
(このシリーズの後日談の話はまた後ほど)。

続きをお楽しみ戴ければ幸いです。


【続きを読む】をクリックしてご覧くださいませ。


小さな恋のメロディ3





 未成年に手錠を掛けて、キスしまくったなんて。
 今、きちんと考えても理性が破壊されていわね。
 
 私は起き抜けに、そう反省した。

 そうだ、私は昨夜、若干合法的(?)に誘拐してきた少女に、手錠を掛けて、あまつさえキスをいっぱいしたのだ。
 そう、昨日の自分の行動を鑑みて、反省中の私は、佐野潤子。28歳独身。

 そんな私は、とりあえず、朝の珈琲を淹れている。
 一応、彼女――件の少女=北村雪乃――の分も淹れている。
 あとは、サラダを作って、ソーセージをボイルして、パンをトーストして。そうしたら、簡易な朝食の出来上がりだ。あ、卵も茹でなきゃ。
 
 色々と考えていると、昨夜の事がどうしても思い出される。
 雪乃は抜群に、可愛かったのだ。
 ここは強調してもいいと思う。
 キスを続けた時のとろんとした表情も可愛かったが、何より可愛かったのは、寝顔だ。
 あれは反則だよねーと笑いがつい零れてしまう。

 怒涛のキスに疲れて眠った私たちは、あの後、ベッドが一つしかないので一緒に眠った。
 一人暮らしの家だから当然の帰結なのだが、私は初めて他人と同衾した。
 眠りに落ちる前、一応、雪乃の手首をチェックした。
 軽く手錠を掛けたので、痕にはならなかったけど、ちょっと子供相手にやりすぎたかな、と反省。
 あ、私、反省ばっかりしているわね。
 なんだか、可笑しいの。小さく笑いがこみ上げてくるのは、普段、反省するような事、しないからかしら。
 ちなみに、セックスはしていない。
 ベッドに入ると、少女はすぐに寝息を立てた。
 暫くして、無意識な少女は私に抱きついて来た。
 私の胸に顔を埋めて、へらぁっと嬉しそうに笑っているので私も突き放せないで、彼女を抱き締めて、眠った。
 あの無防備な笑顔は本当に愛らしくって、よく言われる“なんでもしてあげたくなる”って気持が理解できた。

 さて、朝食も作れたし、彼女、起こして来ますか。

「雪乃、起きなさい」
 声掛けてから、体を揺すると、
「う、う~ん」
 寝言を言うみたいに何だか言葉になってない言葉を発する少女。
 閉じていると、長い睫毛が強調される。
 こうして眠っていると、整った顔立ちだと余計に思えてくるから不思議だ。
 眠り姫みたい。
 くすっと笑って私は、彼女の唇を指で、なぞった。
 すると、少女が目を開けた。
「おはよう」
 彼女の唇から指を離して私が言うと、
「何してたの?」
 起きたばっかりだというのに、ぢっとりと濡れた大きな瞳に問いかけられた。
「唇、触ってたの」
「なっ!!」
 彼女が真っ赤になって叫んだ。
 そして、すぐに両手で唇を押さえる。そんな彼女の仕草が可愛くて、噴出してしまった。
「そんなに警戒しなくても、指で触ってただけよー。朝食できたから、食べなさい」
 そういって私はダイニングへ戻ろうと踵を返した。
「……」
 少女は空腹には逆らえないのか、すごすごと私のあとを着いて来た。

 一緒に朝食を食べる。
 一足先に食べ終わった私は、タバコの箱を持って立ち上がった。
 すると、私が持つブラックデビルの黒い箱を睨んで少女が、
「あんた、タバコ吸うんだ……」
 と言った。
 私は、どう答えようか一瞬だけ考えて、
「“大人”だからね、お酒も嗜むわよ?」
 と、にやにや意地悪く笑った。
「ふーん。大人もタバコもお酒も嫌いだ」
 こちらを見ないで少女は言い放ち、黙々とトーストを口に運んでいる。
「タバコなんて殆ど吸わないけどね。アナタが来たから禁煙するかな」
 そう言ったら、頑なな少女の表情が少しだけ解れた。
「……まあ、百害あって一理なしだから止めるの推奨する」
 少女のボソボソした呟きを聞いて、
「そ、ありがと」
 と、にこっと私は返した。
 さ、怠惰に吸って来たけれど、禁煙始めますか。
 ココナッツミルクの甘ったるい味も、今日で吸い収めね、と私はタバコに火をつけた。


 
 食事も終わり、少女はソファに移動した。
 相変わらず少女は何をするでもなく、ぼーっとしている。
 きっと、少女をそうさせてしまっただけの理由があるのだと、私は思う。
 彼女は何かを怖がっていて、大人を信じられなくなっているのだと、なんとなく一緒に居て解った。
 私は17の冷めた瞳に問いかける。
「何がコワイの?」
 見透かすように私が問うので、彼女はびっくりして、そして、泣き出した。
 一旦、感情の堰が切れると止まらないのか、少女は泣きじゃくる。
 見ていられないので、そんな震える彼女を私は抱き締めた。
 しゃくりあげる隙間の切れ切れの言葉をしっかりと受け止めて、私は彼女が落ち着くまで、そのまま話を聞いた。

 ふと脳裏を、ある言葉が掠める。
 ――何より もうこれ以上 君の周りに 不幸の存在を 俺は認めない。
 まさしくその通りだと思って、私は少女を抱き締めた。
「私はもうこれ以上、雪乃の周りに不幸の存在を認めないわ」
 彼女の耳に囁くように告げる。
 そして、腕を解き、少女の前に立って、彼女の両手を抱え込む。
「幸せにするように努力するから、一緒に幸せになりましょう」
 私は笑顔で告白する。
「……うん。よろしくお願いします」
 ボソッと小さな声で呟く赤い顔した少女を強く抱き締めた。

 ――我々が思うほど この世界は 哀しくプログラムされちゃいない。
 そんな歌詞の一説が、私の頭を過(よ)ぎった。








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 皆様、ここまでお付き合いくださってありがとうございました!!
 婦警さんと少女のシリーズである『小さな恋のメロディ』は一旦、ここで完結となります。
 後日談はまたSSを集めた短編集を頒布する時に書きたいと思います。
 また、このシリーズで皆様にお会いできる日を楽しみにしつつ、
 お題を下さったよっしー様と、筋肉少女帯の『小さな恋のメロディ』に感謝を捧げて〆ます。

歌姫庭園2のサークルカットできましたー!

タペストリー作りました☆

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